2017年11月14日火曜日

2型糖尿病の管理 Management of Type2 Diabetes in 2017

lifestyle modificationは必須として、

Patient-Centered Goals
・HbA1c7未満の厳格な血糖管理は、新たに糖尿病と診断された患者で、合併症がなく、長期生存が見込まれる場合に推奨される。
・罹患歴が長く、長期生存が見込めない、重度の糖尿病関連合併症を有する、併存症を有する、または安全に行ったり、指示に従うことができない場合は、安全性や低血糖を避けることに注視してシンプルな方法とする。

Behavior Change and Use of Team Support
・自己管理と生活習慣の是正
・外来定期に、食事、身体活動、血糖測定、薬物療法関連事象、合併症のスクリーニング等に関する教育は必須。
・管理栄養士や専門看護師をもっと活用すべきである。
・微小血管リスク、脂質異常と高血圧の管理、気分の落ち込みの評価にも注意を向ける。

Pharmacological Management
・FDAが認可した2型糖尿病治療薬はすべて、ヘモグロビンA1cを0.6から1.5%下げる効果がある。
・第一選択薬としてのメトフォルミンの使用は、血糖降下作用、安全性、体重への影響がない、価格もそうであると言う点に基づいている。
・消化器系の副作用を最小限にするように配慮すべきである。

Combination Therapy
・ADA(The American Diabetes Association及びEASD(the European Association for the Study of Diabetes)のガイドラインでは、メトフォルミンの併用薬としてFDAが認可した第二選択薬のいずれもが使用可能としている。その一方で、the American Association of Clinical Endocrinologists では、インクレチン関連薬ないしはSGLT2(sodium glucose transporter 2)阻害薬を推奨している。
・不十分なインスリン分泌に対しては、インスリン分泌促進薬であるsulfonylureas(glibenclamide;ダオニールあるいはglipizide)やインスリン置換療法のいずれかが用いられていた。これらは優れた血糖降下作用と低血糖および体重増加のリスクがある。
・Pioglitazone;アクトスは、心不全と体重増加のリスク増大に関与する可能性があるため、the American Association of Clinical Endocrinologistsの推奨薬剤ではない。

Incretin-Based Therapies
・血糖値に応じてインスリン分泌を促し、低血糖のリスクも低い
・glucagon-like peptide 1receptor agonists( GLP1RA );ビクトーザ
・glucagon-like peptide 1は、食事刺激に対する反応として遠位小腸から分泌されるホルモンで、血糖に応じたインスリン分泌を促し、グルカゴン分泌を抑制し、胃からの排出を遅らせて満腹感を増強する。DPP4により速やかに抑制される。一過性の嘔気嘔吐を生じる可能性がある(1〜3ヶ月持続する)ので、事前に患者とよく相談し、場合によっては消化器症状に対処することでadherenceが改善する。
・このクラスの2つの薬剤( liraglutide;ビクトーザ、semaglutide )が心血管系に有益だとする臨床試験がある。N Engl J Med 2016;375(19):1834-1844.
・dipeptidyl peptidase4 (DPP4) inhibitors
・内因性GLP1濃度を維持し、緩徐に血糖値を下げ、体重を維持し、低血糖をきたさない。

Sodium Glucose Transporter 2
・SGLT2阻害薬は、近位尿細管における糖の再吸収を減少させて尿中へ排出する。
・低血糖を引きを起こさずにHbA1cレベルを効果的に改善する。
・可能性のある副作用は、完了、利尿作用、血圧低下、体重減少、ケトアシドーシス、性感染症の増加など。
・尿路感染症のリスクは増大させない。
・empagliflozin;ジャディアンスは、心血管系のアウトカムにおいて、全ての原因の死亡率と心不全を著明に減少させることが示された。N Engl J Med 2015;373(22):2117-2128.

Effective Use of Insulin
・メトホルミンとインスリン以外の投薬でもHbA1c9%以上では、インスリン療法が必要だろう。
・長時間作用型のインスリンを就寝前に少量(およそ10単位くらい)から始め、空腹時血糖を120mg/dL以下に調整する。この開始量では低血糖は起こさないだろう。
・基礎インスリンはあらゆるレジメンと併用できる。基礎インスリンを、メトホルミン、GLP1RA、SGLT2、あるいはpioglitazoneと併用することは安全で効果的である。
・長時間作用型のインスリンとGLP1の併用がFDAで承認された。優れた血糖降下作用、体重への影響がないか減量させ、低血糖も起こしにくい。

Summary
・lifestyle modification and combination therapy
・Metforminが第一選択
・GLP1、SGLT2は血糖降下作用に加え、減量と、心血管リスクを低減する可能性あり
・これらの治療で効果不十分のとき、インスリン療法は安全かつ効果的
・若く、元気で、新たに診断された場合は、HbA1c7%以下が治療目標
・高齢で、複数の併存症がある場合は、安全性に注視し、低血糖を避けることに主眼をおいた治療目標設定がよい
・GLP1、SGLT2の心血管リスク低減効果は、スタチンや高血圧管理に替わるものではない。

JAMA Published online March 1, 2017